「経営・管理」申請前にやるべき5つのこと
知っておきたい審査ポイント
外国人が日本で起業するには、在留資格「経営・管理」を取得する必要があります。どのような素晴らしい事業内容であっても、いきなり入管に在留資格の諸申請をしても許可されることはありません。明日からでも事業がスタートできるくらいまで、十分準備がでいていなくては在留資格「経営・管理」は取得できません。その申請前の準備について紹介します。
1.事業計画
申請者が従事しようとする事業を審査するポイントは次の2つです。
申請者が事業経営に従事すること。
たとえ飲食店を開業しても、申請者が買い出し、調理、配膳、デリバリー等の現場の業務ほとんどをこなしているようでは、”経営”に従事しているとはいえません。「経営・管理」は、事業の運営に関する重要事項の決定、業務の執行、監査の業務等に従事する代表取締役、取締役、監査役等の役員としての活動が該当します。業務内容の具体性、事業の開始に至る経緯やこれまでの経歴等を全体的に見て、申請者が名ばかりの経営者でないことも併せて判断されます。
事業の継続性
在留期間の途中で事業が立ちいかなくなってしまうことのないよう、申請者が従事する事業が安定して営まれるものであること。申請時において、申請者は日本でまだその事業に参画していません。それでも、資本金や出資金を元に事業がどのように展開していくのか、数字を落とし込んで具体的な事業計画書を作成する必要があります。ここは、申請者の多くが頭を悩ますところでもあります。
事業計画書の作成は、プロにご相談されることをお勧めします。
2.会社設立
在留資格「経営・管理」の申請にあたって、会社設立が必須とされているわけではありません。申請者が株式会社等を設立せず、個人事業主であっても「経営・管理」を許可される可能性はあります。
まず、経営・管理の上陸許可基準を見ていきます。↓
申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
(イ)その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤の職員が従事して営まれるものであること。
(ロ)資本金の額又はは出資の総額が五百万円以上であること。
(ハ)イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。
イ又はロに準ずる規模であればよしとされているからです。しかし、これから日本で行う事業が、上記(イ)(ロ)(ハ)いずれかの規模に該当することを書類で提出し立証する必要があります。
常勤職員とありますが、日本に居住する日本人、特別永住者、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者に限られ、「技術・人文知識・国際業務」等の在留資格者は除外されている点に注意が必要です。いずれにしろ、創業と同時に2人の職員を雇うケースは稀なため、事業の規模を資本金や出資金の額で証明することになります。そうなると、個人事業主として申請するより”会社設立”した方が立証しやすいといえます。
在留資格「経営・管理」の申請時、法人の登記事項証明書を提出します。登記が完了していない場合は、定款その他法人において当該事業を開始しようとしていることを明らかにする写しを代わりに提出することなります。
3.口座開設
会社の設立者(発起人)の日本国内の銀行口座に資本金を振り込みます。
海外にいる外国人が「経営・管理」を申請する場合、日本の銀行にはまだ口座がないので、日本にいる協力者の口座にお金を振り込みます。
協力者がいないのであれば、申請者名義の銀行口座を作ることから始めます。4か月期限の在留資格「経営・管理」を取得し、来日して、準備します。
4か月「経営・管理」であれば在留カードが支給され、銀行口座の開設も可能です。しかし、在留期限が6か月以上でなければ口座開設の対応をしていない銀行も多いのが実情です。日本で協力してくれるパートナーがいれば、口座開設に限らず諸手続きのハードルの高さはかなり違ってきます。
4.事業所の確保
事業を営むための事業所を用意します。賃貸借契約書には、事務所としての使用が許可されている文言が入っていることが必要です。自宅兼事務所の場合、プライベートスペースを通らずに事務所にたどり着ける動線の確保が求められます。
事務所を借りるためにかかる経費や備え付けるための事務機器購入経費及び事業所維持に係る経費は、500万円の資本金(出資金)から充てても問題ありません。ただし、その500万円の出どころは説明できるようにしておかなければなりません。親戚などから借りたお金であっても差し支えありませんが、借用書と共に返済計画表等も併せて提出するのがベストです。
5.事業許可
「古物商許可」等のように事業内容に合わせて入管の申請前に許可を取得しておきます。
「経営・管理」申請準備のまとめ
在留資格「経営・管理」は申請準備が大変なので、外の就労ビザより多くの準備時間を要します。申請しても審査が終わるまでの期間の経費を考慮したゆとりある資金計画も立てておきましょう。
行政書士 たにぐち事務所では、”日本で起業したい”外国人を豊富な知識ときめ細かいサポート体制で応援しています。ぜひ、ご相談ください。
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