技能実習生を受け入れるには?
技能実習制度とは
技能実習制度は、発展途上国からの技能実習生が日本で技術や技能を学び母国へ持ち帰る「技能移転」を目的として生まれました。単に企業等が労働の対価として外国人に賃金を払うだけのやり取りでは終わらず、国際貢献を最終目標に掲げています。しかしながら、技能実習生の失踪や法外な保証金を徴収する送り出し機関(外国側)の存在などがクローズアップされてきたように、「技能実習制度」は社会でも大きな問題となっていました。そこで、政府は「管理体制の強化」「技能実習生の保護」にポイントを絞った改正を行い、平成29年から技能実習法が施行されました。
技能実習法 見直しの主なポイント
- 監理団体は許可制に
- 実習実施者は届出制に
- 技能実習計画は認定制に
- 外国人技能実習機構の創設
- 実習生のための通報・申告窓口を整備
- 二国間で取り決めをする
技能実習を適正に円滑に行うため、日本は送出国との間で二国間取り決め(協力覚書「MOC」)を作成しています。各国との協力覚書の詳細は下記に掲載されています。
ベトナム・カンボジア・インド・フィリピン、ラオス、モンゴル、バングラディシュ、スリランカ、ミャンマー、ブータン、ウズベキスタン、パキスタン、タイ、インドネシア
技能実習対象職種
技能実習生を受け入れることができる職種は限定されています。令和3年時点で85職種156作業です。大きく分けて次の分野です。
- 農業
- 漁業
- 建設
- 食品製造
- 繊維・衣服
- 機械・金属
- その他17職種
その他の分野には、宿泊の「接客・衛生管理」や自動車整備、介護、ビルクリーニングも含まれています。詳しくはコチラ
受け入れ方式
技能実習生を受け入れる方式には2タイプあります。企業単独型と団体管理型です。
実際は、管理団体型で技能実習生を受け入れる企業(実習実施者)がほとんどです。
技能実習の流れ
技能実習生は、入国直後は原則として2か月間講習(座学)を受けたのち、実習に入ります。この実習期間から雇用契約を結んだ受け入れ企業(技能実習者)と技能実習生との間で雇用関係が成立し、労働関係各法令などが適用されることになります。
技能実習1号、2号、3号
技能実習生として入国すると、1年目は「技能実習1号」、2年目、3年目は「技能実習2号」、4年目、5年目は「技能実習3号」となります。
技能実習1号から技能実習2号へ移行するには、実技試験及び学科試験が必要です。それらに合格し、在留資格の変更申請を行います。技能実習2号から技能実習3号への移行にも、実技試験を受けて合格することが求められます。この試験をうけるためには、管理団体及び実習実施者が一定の条件を満たし優良であると”認定”される必要があります。「技能実習生」「管理団体」「実習実習者」はトライアングルの関係で、すべてが優良であったなら技能実習生は最大5年間、日本で働くことができます。
技能実習1号修了時に受ける試験は、実技試験及び学科試験です。しかし、2号修了時、3号修了時の試験は実技のみとなっています。実技試験はかなり高レベルのものであり、働きながらその技術を習得する外国人に「日本語試験」まで課すのはあまりにも負担が大きいとされているからです。
技能実習2号修了後
技能実習2号を良好に修了すれば、「特定技能」へ在留資格を変更することができます。しかしながら、修了後、日本での生活を終えて母国へ帰る人もいます。どちらの道に進むのであっても、2号修了時に技能試験を受検することを政府は必須としています。
また、技能実習2号から特定技能へ移行して働く人は別として、技能実習3号へ在留資格を変更して日本で働き続ける場合、技能実習生は1か月以上1年未満、母国へ一旦帰国しなければなりません(令和元年9月6日付、技能実習法施行規則の改正)。帰国する時期は技能実習3号のスタートを切る前であっても、切ってからでも時期は問いません。(技能実習2号から特定技能へ移行して働く人の場合、一旦帰国の要件は求められていません)。
技能実習3号は、転籍可能
技能実習生1号は、修了時に技能検定基礎級等に合格して在留資格変更許可を受けると、2号へ移行することができます。その場合、技能実習1号で技能等を修得した実習実施者と同一の機関で、同一の技術を修得しなければならないという決まりがあります。つまり、転籍はできません。3年間同じ実習実施者のもとで実習するのが原則です。
しかし、4年目、5年目の第3号技能実習については、実習実施者を変更することができます。転籍可能です。これは、実習生にとっても実習実施者にとっても大きな意味をもつことです。
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