2020.04.13

就労ビザを持っている外国人が退職した場合、手続きは?

「会社都合」か「自己都合」かで、求職活動中のビザにも差が出ます!

 

離職したら、まずは届出を。外国人本人も、企業も。

就労ビザをもって働いている外国人の方が、退職や解雇などにより職場を辞めた場合、すでに取得している在留資格がすぐに無効になるわけではありません。しかし、やるべきことをしていないと後で罰金を科せられたり、再就職先が見つかりビザの手続きをしても更新が認められない事態に発展しかねません。届け出義務は企業にも課せられています。外国人労働者、企業ともに専門家などのアドバイスを受けながら、早め早めに動きましょう。

退職後の手続を進める上で大切になってくるのが、退職理由です。「自己都合」で辞めるのか、「会社都合」で辞めるのかで、その後のビザ変更などにおいて大きく影響を及ぼします。

例えば、勤務先の急激な業績の悪化や倒産が理由であれば“解雇”になり「会社都合」です。解雇ではないけれど、会社都合で自主退職を勧められ自主的に退職した場合や、契約社員などが雇止めにあい雇用期間満了時点で失業してしまう場合も、「会社都合」に含まれます。

届出:外国人本人&企業

就労ビザをもって働く外国人が退職した場合、本人が14日以内に出入国在留管理局へ届出なければなりません。「窓口」「郵送」「インターネット」3つの方法があります。

当然のことながら、外国人は日本の法的ルールに詳しくありません。14日以内と決められていても、知らないために届出ていない人もいますが、気づいた時点ですぐに届出るようにしましょう。

これをしておかなければ20万円以下の罰金や次回のビザ更新の際に在留期間が短縮される可能性があります。要注意です。

企業には、外国人労働者が退職したときの特別の手続として、ハローワクークへの「外国人労働者離職」の届出義務があります(外国人雇用状況の届出制度)。日本国籍を持たない人であって、在留資格「外交」「公用」「特別永住者」以外の方がすべて届出対象となっています。ご注意ください。知らなかったではすまされません!届け出を怠ったり虚偽の届出をした場合、30万円以下の罰金対象となります。

外国人雇用状況届出:企業
■届出事項

 

氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域、資格外活動許可の有無、雇入れ又は離職年月日、雇入れ又は離職に係る事業所の名称、所在地等

■届出先

当該外国人が勤務する事業所施設(店舗・工場など)の住所を管轄するハローワークに届出てください。

■期日

雇入れ、離職の、翌月の末日まで

※厚生労働省HP参照

失業給付:解雇の場合、特に忘れずに

雇用保険に加入していれば、外国人であっても扱いは日本人と同じです。求職の意思があれば、失業保険支給の対象となります。
会社都合の場合は1週間ほどで、自己都合の退職であれば4カ月ほどで支給されます。受け取る受け取らないは別として、求職の意思表示の一つとして手続きだけでもしておかれてはどうでしょうか?

3か月以内に、再就職を

離職後も求職活動を行っていれば、帰国する必要はありません。しかし、「在留資格の取消し」制度があり、就労ビザを持った人が「3カ月以上本来の活動がない場合」就労ビザが取り消しになってしまいます。

在留資格の取消し(入管法第22条の4)
在留資格の取消しとは,本邦に在留する外国人が,偽りその他不正の手段により上陸許可の証印等を受けた場合や,在留資格に基づく本来の活動を一定期間行わないで在留していた場合などに,当該外国人の在留資格を取り消す制度です。
在留資格を取り消す場合は,入管法の第22条の4第1項に規定されており,法務大臣は,次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは,外国人が現に有する在留資格を取り消すことができます。
(なお,(5)については,平成29年1月1日から適用されます。)
(1) 偽りその他不正の手段により,上陸拒否事由該当性に関する入国審査官の判断を誤らせて上陸許可の証印等を受けた場合。
(2)(1)のほか,偽りその他不正の手段により,本邦で行おうとする活動を偽り,上陸許可の証印等を受けた場合(例えば,本邦で単純労働を行おうとする者が「技術」の在留資格に該当する活動を行う旨申告した場合) 又は本邦で行おうとする活動以外の事実を偽り,上陸許可の証印等を受けた場合(例えば,申請人が自身の経歴を偽った場合)。
(3)(1)又は(2)に該当する以外の場合で,虚偽の書類を提出して上陸許可の証印等を受けた場合。本号においては,偽りその他不正の手段によることは要件となっておらず,申請人に故意があることは要しません。
(4) 偽りその他不正の手段により,在留特別許可を受けた場合。
(5) 入管法別表第1の上欄の在留資格(注)をもって在留する者が,当該在留資格に係る活動を行っておらず,かつ,他の活動を行い又は行おうとして在留している場合(ただし,正当な理由がある場合を除きます。)。
(6) 入管法別表第1の上欄の在留資格(注)をもって在留する者が,当該在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合(ただし,当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除きます。)。
(7) 「日本人の配偶者等」の在留資格をもって在留する者(日本人の子及び特別養子を除く。)又は「永住者の配偶者等」の在留資格をもって在留する者(永住者等の子を除く。)が,その配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合(ただし,当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除きます。)。
(8) 上陸の許可又は在留資格の変更許可等により,新たに中長期在留者となった者が,当該許可を受けてから90日以内に,法務大臣に住居地の届出をしない場合(ただし,届出をしないことにつき正当な理由ある場合を除きます。)。
(9) 中長期在留者が,法務大臣に届け出た住居地から退去した日から90日以内に,法務大臣に新しい住居地の届出をしない場合(ただし,届出をしないことにつき正当な理由がある場合を除きます。)。
(10) 中長期在留者が,法務大臣に虚偽の住居地を届け出た場合。
在留資格の取消しをしようとする場合には,入国審査官が,在留資格の取消しの対象となる外国人から意見を聴取することとされており,当該外国人は,意見の聴取に当たって意見を述べ,証拠を提出し,又は資料の閲覧を求めることができます。
在留資格が取り消されることとなった場合であって,上記2の(1)又は(2)に該当するときは,直ちに退去強制の対象となります。
一方で,上記2の(3)から(10)までに該当するときは,30日を上限として出国のために必要な期間が指定され,当該期間内に自主的に出国することになります。
ただし,上記2の(5)に該当する場合のうち,当該外国人が逃亡すると疑うに足る相当の理由がある場合は,直ちに退去強制の対象となります。
指定された期間内に出国しなかった場合は,退去強制の対象となるほか,刑事罰の対象となります。
(注)入管法別表第1の上欄の在留資格
「外交」,「公用」,「教授」,「芸術」,「宗教」,「報道」,「経営・管理」,「法律・会計業務」,「医療」,「研究」,「教育」,「技術・人文知識・国際業務」,「企業内転勤」,「興行」,「技能」,「技能実習」,「文化活動」,「短期滞在」,「留学」,「研修」,「家族滞在」,「特定活動」

つまり、このまま在留するのであれば、ハローワークに足を運ぶ、面接を受けるなど、就職活動の実績を積んでおきましょう。このときの活動記録は書類として残せるものは残しておくことです。後々のビザ変更申請の際に役立ちます。

書類の例

 

  • ハローワークカード
  • 企業面接を受けたことがわかる書類
  • 企業からの不採用通知
  • 企業からの連絡メールのコピー等

そして、3カ月以内に再就職するのがベストです。3カ月を過ぎた無職の期間は後々の就労ビザ更新に不利になってしまいます。

退職後3か月以内に就職できなければ、就労ビザの更新はできません。

退職後のアルバイト:資格外活動許可

就労ビザをもっていても、その在留資格に係る活動内容以外のアルバイトは、禁止です。「技術・人文知識・国際業務」ビザの人が、コンビニや居酒屋で働くことはできません。ただし、資格外活動許可を申請して働くことができる人もいます。

会社都合で退職した外国人労働者は、「資格外活動許可」がおります。アルバイトをして生活費を稼ぐために必要で、単純作業可能な包括的許可がもらえます。

しかし、自己都合で会社を辞めた人に「資格外活動許可」はおりません。

退職が「自己都合」か「会社都合」かで、退職後のアルバイトにも大きく影響します。注意してください。

3カ月後も求職活動中の場合

3カ月たっても就職先が決まらないことは十分にあり得ます。「もっと日本にとどまり就職活動したい」そう考えた場合、手続きが必要です。「在留資格の変更許可申請」をします。いわゆるビザの変更手続きをしてください。

この場合の手続も、退職理由が自己都合か会社都合かで在留資格が異なってきます。

会社都合の場合は「特定活動」(6カ月)に変更して、求職活動を続けられます。同時に、「資格外活動許可」も受けます。

自己都合で辞めた場合、「短期滞在」に変更し「資格外活動許可」をもらいます。ただし、自主退職した人の資格外活動で、単純労働はできません。技術・人文知識・国際業務等に該当する活動に限られるので注意が必要です。

再就職先決定で、届出を

再就職先が決まったら、出入国在留管理局へ「契約期間」の届出を行います。

再就職先の職種が前職と同じであって、在留期限が3カ月以上ある場合は、「就労資格証明書」の交付申請(義務ではありませんが、後々の手続をスムーズにするのでおすすめです)をします。

再就職先の職種が前職と同じであっても、在留期間が3か月を切っている場合は、ビザ更新の手続きを行います。転職後のビザ更新は、新規のビザを取得するのと同じとお考えください。雇用企業が異なれば、実際には、新規の在留資格を取得するのと同等の審査が行われるからです。

退職が「自己都合」なのか「会社都合」なのかによって、その後の求職活動における影響は多大です。解雇されたのであれば、ある程度“守られる”部分があります。自己都合で辞める場合は、ビザのことはもちろん退職後の生活のことまでじっくり考えて決めるようにしましょう。ビザに関しての不明点は、当事務所までお気軽にお問合せ下さい。


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