2020.07.09

外食業で、外国人雇用

特定技能ビザと外食産業


特定技能で、パティシエ、コック、ホールスタッフ、パン職人に。

外食業における有効求人倍率は、全産業平均に比べると極めて高く、外食業を含む「宿泊業・飲食サービス業」の欠員率は5.4%で、全産業平均2.4%の2倍以上と高水準でした(厚生労働省H29年度データを元に農林水産省が算出した数字)。人手不足がこれほど深刻化している状況にもかかわらず、2019年4月まで、外国人が日本で外食業の仕事に就くことはほとんど不可能でした。制度上、外食産業で外国人が就労できる在留資格が用意されていなかったからです。留学生以外の外国人が働くことは困難でした(留学生等一部の外国人は「資格外活動許可」を取得することで一定時間内であれば働くことができます。)。

調理の専門学校を卒業しパティシエになっても、日本では就職できずに帰国するしか道はありませんでした。しかし、「特定技能」という在留資格ができたことで、経験のない留学生であっても、居酒屋やケーキ屋さん、すし店など外食業での就職が可能になりました。

 

事業者要件

特定産業分野該当性

特定技能外国人を雇用できる事業所として、次のような例があります。

  • 食堂・レストラン・料理店
  • 喫茶店
  • ファーストフード店
  • テイクアウト店:店内で調理したものを提供
  • 宅配専門店:店内で調理したものを提供
  • 仕出し料理店

特定技能1号外国人を雇用する場合、事業所が日本標準産業分類「76飲食店」「77持ち帰り・配達飲食サービス」に該当していることが条件です。該当しているか否かをしっかり見極めなければ、本当は特定技能1号を雇えない事業所であるのに雇ってしまうミスを犯してしまう危険性があります。これは不法就労助長罪に問われる可能性もあるので、十分に注意が必要です。

例えば、“持ち帰りすし店”であっても、客からのリクエストに応えてその場で調理して売るのか、他から仕入れたものや作り置きしたものを売るのかで、特定技能外国人を雇用できるか否かの判断が違ってきます。また、ホテルの中にあるレストランであれば、“外食業”の技能試験に合格した特定技能1号の外国人を採用できるのか?この場合は、オーナーは誰なのか?で決めることになります。ホテルとレストランのオーナーが同一であれば不可になり(「宿泊」の技能水準に合格した特定技能外国人を採用しなければなりません)、ホテルとレストランの事業主が別であれば可となります。このほかにも幾種類かの資料を元に判断しなければならないことも多く、「76飲食店」「77持ち帰り・配達飲食サービス」に該当するかどうかの判断は、事業所ごとによって違ってきます。単純に答えが出ないことのほうが多いです。

このように、「うちの店で特定技能1号を雇えるのかどうか?」の判断に迷われたら、行政書士等の専門家へ相談されることをおすすめします。

業務区分該当性

特定技能外国人が就く仕事内容についてです。主たる業務は「飲食物調理・接客・担保管理」です。これらの仕事を幅広く行ったうえで、日本人スタッフが通常行う仕入れや配達などの関連業務を同様に行うのは良しとされています。ただ、清掃や皿会いだけ、配達だけ等に就かせるのは認められていません。本業が外食の仕事ではない、複合施設の飲食スペースでの就労も認められない可能性があります。

禁止事項

  • 1号特定技能外国人に対して、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風俗営業法」という)第2条第4項に規定する「飲食接待等営業」を営む営業所において就労を行わせないこと。
  • 1号特定技能外国人に対して、風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を行わせないこと。

すごく難しく書かれていますが、キャバレー、料亭、クラブなど、お客さんの横に座るなどして接客するお店がダメだとお考えください。

受入機関適合性

協議会の構成員であること

農林水産省が設置する「食品産業特定技能協議会」の構成員になることが求められています。

一人目の特定技能外国人を受入れるときから加入義務が発生します。4カ月たっても未加入のままであれば、特定技能外国人の受入れができなくなってしまいます。

入会について

雇用形態

 

直接雇用のみです。派遣は認められません。

特定技能外国人が有すべき技能水準

技能実習制度のある特定分野では、技能実習2号を修了した人が無試験で特定技能ビザに移行するケースが多く見られます。しかし外食業には技能実習制度がないため、そのような移行してくる外国人は基本的にいません。(但し、例外あり。医療・福祉施設給食製造作業に係る第2号技能実習修了者)

そのため技能と日本語の試験に合格した人のなかから採用することになります。試験は外国でも行われていますので、採用を規模する場合はそれらのスケジュールを把握して採用計画をたて戦略的に動く必要があります。

国内の飲食店でアルバイト経験を積んだ留学生や、調理・製菓系の専門学校の卒業生、海外のレストランの従業員などが対象になると見られています。

技能水準

「外食業技能測定試験」に合格すること。
「衛星管理」「飲食物調理」「接客全般」についての知識や判断能力、計画立案能力などを測定する筆記テストです。日本語のほか英語、中国語、ベトナム語、ネパール語の翻訳版もあります。試験は海外でもうけることができます。

テストのスケジュール

日本語能力水準

日本語能力試験(N4以上)又は国際交流基金日本語基礎テストに合格すること。

日本語能力試験 スケジュール

日本語基礎テスト

特例

医療・福祉施設給食製造作業に係る第2号技能実習修了者は、技能試験・日本語能力試験ともに免除されます。

相談窓口

今まで外国人を社員として雇用する歴史のなかった飲食業は、“初めての外国人雇用”に各事業所とも戸惑っているようです。このような状況を受けて農林省が動き、2020年6月に新しく相談窓口が設けられました。飲食料品製造業及び外食業限定で外国人雇用に関するさまざまな相談を受付けてくれます。


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