外国人の解雇は、就労ビザ変更に配慮した取組みが必要
書類の交付
新型コロナ感染症拡大の影響を受け、関西の観光・飲食業界も外国人のリストラを続々と行っているようです。日本人同様外国人も、労働基準法第16条など定められた理由でなければ解雇できません。
退職手続に関しては、外国人だからということで特に注意すべきことはありません。ただ、彼らは「在留資格」の問題をクリアーしなければ合法的に日本に滞在することはできません。そのため、企業サイドとしては、彼らのビザ手続きをサポートするくらいの気持ちで退職に関する手続きをされるとよいのではないかと思います。
まず知っていただきたいのは、退職事由が「自己都合」か「会社都合」かで、今後、外国人労働者の就労ビザ変更の中身が大きく変わってくるということです。業績の落ち込みや取引先の倒産のあおりを受けて外国人労働者を解雇、退職勧奨、雇止めする場合は「会社都合」になります。彼らが退職後も、日本にとどまり就職活動をしたいと希望する場合、すぐに「資格外活動許可」を得てアルバイトでき、「特定活動」ビザで6か月間、就活をすることができます。しかし、「自己都合」であれば、すぐにはアルバイトできなかったり、就活期間も3か月ほど短くなってしまいます。詳しくは、当サイト「就労ビザを持っている外国人が退職した場合、手続きは?」に詳しく書いています。
退職事由が「自己都合」か「会社都合」かは、「雇用保険被保険者離職票」等の書類で判断されることがほとんどです。そのため、書類は正しく作成されることが大切になってきます。
退職証明書
従業員からの要請があった際に発行することが義務付けられている「退職証明書」。その後、外国人がビザを更新する際に必要になります。退職証明書に決まった書式はありません。記載事項が決められているわけでもありません。ただ、ビザ変更の手続きのことを考えると、本人の了解を得たうえで。次に掲げるうちの「職種」「入社日」「退社日」は記載されることをおすすめします(作成者の記載は必ず)。また、日本語・英語併記が望ましいと思われます。
- 使用期間:退職者が在籍していた期間(試用期間は任意)/li>
- 業務の種類:事務職、営業職、企画書等
- その事業における地位
- 賃金
- 退職の事由(解雇の場合は)、その理由を含む
- 作成者の職種・氏名・連絡先
離職証明書
企業が作成してハローワークに提出します。
就労ビザについての説明
外国人労働者が、就労ビザに関して多くの知識をもっているわけではありません。次の就職先を決めずに退職する場合(「永住者」「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」は除く)、現在取得している就労ビザの有効性等についての説明をしておく必要があります。
退職後、すぐに就労ビザが無効になるわけではありませんが、手続きは必要です(退職後14日以内)。在留期限がまだ先でも、在留資格に係る活動を行わずして3か月以上滞在することはできません。ビザの変更手続きが必要になってきます。
これらの情報を伝え、本人がどうしたいのか?を確認、その方向性に従ったサポートをしておくと、将来の労使トラブルを未然に防ぐのに有効です。
帰国のサポート
「特定技能」ビザをはじめ、就労ビザをもつ一部の外国人労働者で、解雇後、本人が日本国内での再就職をせず帰国を希望する場合、企業はその外国人に対して帰国のサポートをする必要があります。搭乗ゲートに入るまで見届ける義務が課せられている場合もありますし、本人が帰国費用を負えない場合は、会社が負担する必要がある場合もあります。
就労ビザ等について会社が何も知らないままに外国人を解雇すると思わぬ金銭的負担等を強いられることになりかねません。それを避けるためにも、前もって情報を得ておくことは必要です。当事務所は、パートナーシップを組んでいる社会保険労務士と一緒に、外国人の解雇や退職時の手続のサポートをさせていただきます。お気軽にご相談ください。
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