外国人の飲食店経営に必要なもの
-保健所の営業許可&経営管理ビザ-
飲食店営業許可&経営・管理ビザ
外国人が日本で起業する場合、比較的多いのが「飲食店」の経営です。中華料理、イタリア料理、タイ料理、ネパール料理、インド料理などのレストランのほかカフェなどがあります。
外国人が日本で飲食店を開業するには、どうすればいいのか? やるべきこととして、主に「飲食店開業許可の取得」と「経営・管理ビザ」の2つが挙げられます。 どの順番で何をすればいいのか?具体的に見ていきましょう。
飲食店の営業許可を取得
飲食店を開くにあたって、最初にすべきことは「営業許可の申請」です。在留資格の申請は、営業許可を受けてからになります。
また日本では、この許可を受けずに飲食店を開いた場合、懲役や罰金などの刑罰や行政処分に科されます
申請者が欠格事由に該当しないこと
個人事業主として申請する場合はその人が、法人として申請する場合は会社役員の中で一人でも、食品衛生法で決まっている人的欠格事由に該当している場合、飲食店の営業許可はおりません。例えば・・・
- 飲食店を営業し、懲役や罰金刑を科されたことがある・・・
- 飲食店を営業していたが、何かしらの理由で営業許可を取り消されてしまった・・・
しかし、上記のような過去を持つ人が一生、飲食店を経営できないわけではありません。刑や罰金の執行が終わった日から、或は、営業許可を取り消された日から2年を経過すれば、飲食店を開くことができるようになります。
食品衛生管理士を置くこと
各施設に「食品衛生管理士」の資格を持った人を一人、置かなければなりません。保健所に届け出て、お店の中にその人の氏名を明示する必要があります。
食品衛生管理士になるには、都道府県で実施している講習会(日本語)を受講しなくてはなりません。費用は1万円程度で、通常1日で終わるものです。ただし、申請までに食品衛生管理士の資格を有しておくことが理想です。すぐに予約がとれるとも限りませんので、余裕をもったスケジュールで臨みましょう。
但し、栄養士、調理師、製菓衛生士、食鳥処理衛生管理者などの資格を持つ人であれば、講習会の受講は必要ありません。
- 日本語が理解できること
- 在留カードを有していること等
保健所への事前相談
飲食店の施設には、細かな基準が設けられています。A県ではよしとされることが、B県ではダメな場合もあります。ローカルルールも多いため、必ず事前に、店舗を管轄する保健所の担当者に相談しましょう。
- 飲食店営業の規定
- 施設は、家庭用と営業用を区別すること。
- 調理場は、壁板、ガラスその他のもので他と区画されておること。
- 害虫の侵入を防ぐ構造であること。
- 食品取扱室の床は耐水であること
- 食品取扱室の内壁も耐水であること
- 食品取扱室の天井は、ほこりが落下しない構造であること
- 明るさの確保
- 換気の確保
- 器具の保管設備の備え
- 二槽以上の洗浄槽であること
- 給湯設備の備え
- 消毒液を備えた流水式手洗い設備の備え
- 便所
- 更衣室、更衣箱の設置 (奈良県の場合)
飲食店営業許可申請:書類の提出
店舗管轄の保健所へ書類を提出し、申請手数料を納付します。
- 営業許可申請書
- 食品衛生責任者の資格を証するもの
- 施設の平面図:営業施設全体の平面図&調理場内の平面図
- 施設付近の地図
- 水質検査結果:水道水以外の井戸水やタンク水使用の場合
- 登記事項証明書:法人の場合
- 印鑑:法人の場合は、登記された印鑑、代表者印
- 申請手数料
レストラン完成の確認検査&営業許可書の交付
営業者立会いのもと、施設完成の検査を受けます。基準に適合していれば、数日で営業許可書が交付されます。改善すべき箇所を指摘されたら、改善後に再検査を受け、基準に適合していることが認められてからの交付となります。
その他の許認可
防火管理者;消防署への届出
すべての施設に必要なわけではありません。30人以上収容できる比較的大きなお店を開く場合、店舗を管轄する消防署に「防火管理者」の届出が必要です。
- 延床面積が300平方メートル以上:甲種防火管理者
- 延床面積が300平方メートル未満:乙種防火管理者
警察への届出
夜中の12時を過ぎてもお酒を提供する場合や、主にお酒を出す店の場合、「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」を、営業開始の10日前に警察に出す必要があります。 また、お店のスタイルによっては「風俗営業許可」の届出をださなければいけない場合もあります。
食品の製造・販売にも許可が必要
単に飲食店を開くといっても、どのようなものを作り、提供するかによって、「飲食店営業」以外にも保健所に営業許可を必要とする場合があります。その数、全部で34種類。後で、「しまった!」ということのないように、確認しておきましょう。
- 飲食店営業
- 喫茶店営業
- 菓子製造業(パン製造業を含む)
- あん類製造業
- アイスクリーム類製造業
- 乳処理業
- 特別牛乳さく取処理業
- 乳製品製造業
- 食品の冷凍又は冷蔵業
- 食品の放射線照射業
- 清涼飲料水製造業
- 乳酸菌飲料製造業
- 氷雪製造業
- 氷雪販売業
- 食用油脂製造業
- マーガリン又はショートニング製造業
- みそ製造業
- 集乳業
- 乳類販売業
- 食肉処理業
- 食肉販売業
- 食肉製品製造業
- 魚介類販売業
- 魚介類せり売営業
- 魚肉ねり製品製造業
- 醤油製造業
- ソーズ類製造業
- 種類製造業
- 豆腐製造業
- 納豆製造業
- めん類製造業
- そうざい製造業
- かん詰又はびん詰食品製造業
- 添加物製造業
経営管理ビザの申請
日本国籍を持っていない人が、日本で飲食店を経営するには、開業するための在留資格「経営・管理ビザ」を申請しなければなりません。「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の在留資格をもっていれば、活動に制限がないので、改めてビザを申請する必要はありません。
飲食店を経営する場合、個人事業主として開業するのか、会社を設立して法人として開業するのか・・・いろいろです。ただビザを申請する場合、会社を設立してその事業の一環としてレストランを経営するスタイルの方が書類を作成しやすいです。いずれにしろ、出資するだけで経営にかかわらない場合、おりるビザはありません。注意してください。
また飲食店で外国人を採用する場合、そのスタッフのビザも申請しなくてはなりません。 調理師やコック、ソムリエは「技能ビザ」、ショーに出演する歌手やダンサーなら「興行ビザ」です。
2019年4月以降は、「特定技能(外食業)」や「特定活動46」という在留資格が新しく誕生することにより、ホールスタッフや調理場のスタッフとして海外にいる外国人を呼び寄せたり、大学に学ぶ日本語の流暢な留学生を幹部候補生として現場に採用することができるようになりました。今までアルバイトしていた留学生をそのまま社員として、雇う道も開けました。
飲食店を開業する場合、経営・管理ビザが下りていない段階から、かなりの額を投資しなくてはならない現状があります。何度も保健所へ相談に行き、日本語の書類を作成するのは時間も労力もかかります。丸投げできるプロに任せませんか?
行政書士は国家資格をもった手続きのプロです。日本語での処理作成や役所との折衝、打ち合わせなど、すべてお任せください。あなたが一日も早く飲食店をオープンできるよう、万全のサポートをお約束します。
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