2023.05.24

製造業における、外国人雇用

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

 

 

 

技能実習&特定技能

製造業で外国人を雇用するには、在留資格「技能実習」もしくは「特定技能」の在留資格が考えられます。

2019年に創設された特定技能制度は、製造業においては2022年8月に大きく改正され、19の業務区分に細分化していたところ、「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」の3分野に大きくざっくりと分けて受け入れるようになりました。現場の多能工化のニーズを受け、現場の実態に沿った制度となるように統合されたのです。従事できる仕事の幅が大きく広がりました。

【旧区分と統合後の区分の対応関係】

機械金属加工
鍛造・ダイカスト・金属プレス加工・工場板金・鋳造・鉄工・機械加工・仕上げ・プラスチック成形・溶接・塗装・電子機器組立て・機械検査・機械保全・工業包装
電気電子機器組立
機械加工・仕上げ・プラスチック成形・電気機器組立・電子機器組立・プリント配線板製造・機械検査・機械保全・工業包装
金属表面処理
めっき・アルミニウム陽極酸化処理

人的要件

在留資格「特定技能1号」を得られるのは、技能実習2号修了者(2年10か月以上の実習修了者)からの移行組であるか、もしくは試験合格組のいずれかになります。

製造分野特定技能1号評価試験

製造業分野では、次の19区分の試験が行われています。業務区分の統合に伴い、試験区分の見直しも併せて行い、令和5年度の技能評価試験からの適応を予定しているようです。

学科試験は新区分の共通問題に、選択科目の問題形式となり、実技試験は従来の試験同様に、19科目から選択するようです。

19試験区分
  • 鍛造
  • ダイカスト
  • 金属プレス加工
  • 工場板金
  • 鋳造
  • 鉄工
  • 機械加工
  • 仕上げ
  • プラスチック成形
  • 溶接
  • 塗装
  • 電子機器組立て
  • 機械検査
  • 機械保全
  • 工業包装
  • 電気機器組立
  • めっき
  • アルミニウム陽極酸化処理
  • プリント配線板製造

日本語試験

日本語試験は、日本語能力試験で「N4」以上、もしくは国際交流基金日本語基礎テストに合格する必要があります。

技能実習

技能実習2号を良好に修了した外国人は、上記の技能試験と日本語試験が免除され、無試験で特定技能1号に移行できます。

ただし「技能実習2号を良好に修了した」と判断するには、次の要件1のほか、要件2もしくは3の何れかを満たす必要があります。
1. 技能実習2年10カ月以上の修了
2. 技能検定3級もしくは相当する技能実習評価試験の実技試験への合格
3.「評価調書」に基づき、技能実習2号を良好に修了したと認められること

2年10カ月未満の技能実習修了者の場合、試験免除者には該当しません。日本語試験のほか、技能試験を受けて合格しなければ、特定技能外国人として受け入れることはできません。また基本的に、技能実習中の移行はできないことになっています。技能実習3号の実習中の方は、3号を修了してからのみ特定技能への移行が可能になります。

製造3分野以外の技能実習2号を良好に修了している外国人が製造業に就く場合、日本語の試験は免除されます。しかし技能試験は受ける必要があるので、「製造分野特定技能1号評価試験」に合格しなくてはなりません。

事業者要件

特定技能外国人を雇用するには、事業所が、以下の日本標準産業分類のいずれかに該当する産業を行っている必要があります。

日本標準産業分類

特定技能外国人を受入れようとする事業所ごとに、下記の日本標準産業分類に該当する産業を行っている事業所か否かをみていきます。※下表は、経済産業省HPより抜粋

2022年の制度改正により、技能実習を終了した科目や旧試験区分で合格した科目以外についても、区分の範囲内であれば柔軟に従事できます。ただし、新しい技術に従事させる場合は、事故を未然に防げるよう訓練や研修が実施するよう努めなければなりません。

日本標準産業分類該当性の判断基準

特定技能外国人を受入れる上で、事業所が要件をみたしているかどうかを判断するのはとても大事なことです。日本標準産業分類において該当性を正しく判断するには、「製造品出荷額等」が直近1年間いおいて発生しているかどうかで判断します。要は、売上があるかどうかで見ていくということです。そして受入機関の審査は事業所ごとに行うので、事業所単位で確認する必要があります。

製造品出荷額等とは、製造品出荷額、加工賃収入額、くず廃物の出荷額及びその他の収入額の合計であり、所費税等を含んだ額のことを指します。

従事する業務

特定技能外国人が従事できる業務は次の通りです。製造業分野に該当する製品を製造する業務にのみ従事することが可能です。※下表は、経済産業省HPより抜粋

さらに、日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的につくことはさしつかえありません。関連業務をメインに従事することは認められていないので注意しましょう。

従来の素形材産業分野では、次のよう作業が関連業務にあたると考えられます。
1.原材料・部品の調達・搬送作業 
2.各職種の前後工程職種
3.クレーン、フォークリフト等運転作業
4.清掃・保守管理作業等

雇用形態

直接雇用のみ

移動の可否

特定技能外国人と雇用契約を結んでいない関連会社等の他社、他社事業所への移動は認められていません。

協議・連絡会への入会

特定技能外国人を受入れる事業所ごとに分野別に協議・連絡会への入会が必要です。同一法人でも、複数事業所で特定技能外国人を受け入れる場合、受け入れる事業所ごとに協議・連絡会への入会が必要です。

Q&A

以下、経済産業省HPより抜粋

業種分野・業務区分の該当性

(質問 2-1)受入れ可能な事業所であるかどうかがわかりません。何をみて判断したらよいですか。
(回答 2-1)素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野については、日本標準産業分類に基づき該当性を確認していただく必要があります。
まず、「日本標準産業分類(平成 25 年 10 月改定)の大分類 E 製造業(総務省)の一覧」及び、「説明及び内容例示」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000290724.pdf
から、受入れを希望する事業所で直近 1 年間に「製造品出荷額等」が発生している業種を確認してください(該当性の確認は事業所毎に行いますので、事業所単位でご確認いただく必要がございます。)。
次に、経済産業省のホームページ<特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)>に掲載されている「最新の経済産業省説明資料」P4 の『素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野における受入れ可能な事業所の日本標準産業分類』をご覧いただき、最初にご判断された業種が該当しているかご確認ください。
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/gaikokujinzai/index.html

(質問 2-2)当社の主たる事業は、日本標準産業分類をもとにすると素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野に該当しませんが、事業の一部で、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野で受入れが認められる事業区分を扱っており、その売上があります。この場合、受入れが可能な特定産業分野に該当しますか。
(回答 2-2)主たる事業でなくても、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野のうち受入れ可能な産業分類に該当した製造品の出荷額が発生している場合は、特定産業分野に該当する、と判断できます。ただし、特定技能外国人を受け入れられるのは、受入れ可能な産業分類に該当する製品の製造工程のみとなりますのでご注意ください。

技能実習からの移行

(質問 3-1)技能実習 2 号を修了した職種からの移行が認められた業務区分で特定技能 1 号を取得した場合、他の業務区分の作業を行うことは可能ですか。
(回答 3-1)在留資格を得た業務区分に含まれる作業であれば認められます。ただし、当該区分に含まれない作業への従事を希望する場合は、希望する作業を含む製造分野特定技能 1 号技能評価試験に合格することが必要です。(参考:業務区分と作業内容)
・機械金属加工(鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金、仕上げ、プラスチック成形、機械検査、機械保全、電気機器組立て、塗装、溶接、工業包装)
・電気電子機器組立て(機械加工、仕上げ、プラスチック成形、プリント配線板製造、電子機器組立て、電気機器組立て、機械検査、機械保全、工業包装)
・金属表面処理(めっき、アルミニウム陽極酸化処理

(質問 3-8)技能実習 2 号から特定技能1号へ移行する際、一時帰国しなければならないのですか。
(回答 3-8)技能実習 2 号を終了した外国人が特定技能 1 号へ移行する際、一時帰国することは法令上の要件とはなっていません。

(質問 3-9)現在、技能実習 3 号の実習中です。特定技能 1 号への移行は可能ですか。
(回答 3-9)技能実習中の移行はできません。技能実習 3 号を修了してから可能となります。

業務範囲について

作業内容
(質問 4-1)特定技能外国人が従事する作業内容について教えてください。
(回答 4-1)特定技能外国人の受入れに関する運用要領<別紙 4>に、業務区分別に記載しています。
例:機械金属加工
指導者の指示を理解し、又は、自らの判断により、素形材製品や 産業機械等の製造工程の作業に従事 https://www.moj.go.jp/isa/content/930004944.pdf
また、分野別運用要領に記載されているとおり、当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えありません。関連業務に当たり得るものとして、例えば、次のものが想定されます。
①原材料・部品の調達・搬送作業、
②前後工程作業、
③クレーン・フォークリフト等運転作業、
④清掃・保守管理作業

複数の製造ライン時の対応
(質問 4-2)製造ラインで、受入れ対象の産業分類に該当するものと該当しないものを製造しています。受入れ対象の産業分類で特定技能外国人を受け入れた場合、受入れ対象の産業分類に該当しない製造品の製造作業に携わることは可能ですか。
(回答 4-2)同じ事業所/製造ライン内であっても、受入れ対象の産業分類に該当しない業務に従事することはできません。

請負契約での受入

(質問 5-1)構内請負を行っております。特定技能制度の利用は可能でしょうか。
(回答 5-1)素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野において、条件を満たしていれば請負での受入れが可能です。請負会社が素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野に該当する(製造品出荷額が発生している)こと、業務区分が該当すること、直接雇用契約を結んでいること、受入れ協議・連絡会の構成員であること、派遣契約ではないことが条件です(*製造業では派遣契約は認められておりません)。

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