3年後、特定技能に無試験で移行可能
「技能実習2号」対象職種に宿泊業が追加。2020年2月25日から
2020年2月25日から、宿泊業が国人技能実習法に基づく技能実習制度の「技能実習2号」の移行対象職種に追加されました。
これにより、宿泊業界は現在受け入れている在留期間1年の「技能実習1号」が修了試験に合格すれば2号実習生になり、日本で計3年間(1号2号の合算期間)の実習ができるようになりました。
さらに2019年4月から始まった「特定技能」へ移行申請すれば、無試験で在留期間はさらに5年延長することができます。
これまで宿泊業界は、技能実習生として外国人を受け入れても、わずか1年で彼らに祖国へ帰ってもらうしか術がありませんでした。このたび「技能実習2号」の移行対象職種に追加されたことは、宿泊業における外国人雇用の道を大きく拡げたことになります。
技能実習と特定技能の違い
管理団体と登録支援機関
技能実習と特定技能、どちらも受け入れ事業者と外国人は雇用関係にありますが、受け入れ事業者の負担する費用や受け入れ手順、受け入れ期間中の管理や支援体制などは大きく異なります。後々のトラブルを避けるためにも、制度の目的や仕組みについては理解しておくことが欠かせません。
まず、技能実習生は国の認可を受けた非営利の事業協同組合である「管理団体」が在留資格の申請などを代行し、企業での実習を管理する仕組みになっています。企業が技能実習生を受け入れようとするなら、入国前入国時の諸費用として100万円前後を、そして月額2万円から5万円の管理費を管理団体に支払うことになります。
特定技能は、企業が直接、海外に住む外国人を面接して採用することが可能です。実際には、海外の送り出し機関に募集や面接のセッテイング(この際、10万~の紹介料などが発生)をしてもらうパターンが多いと思われますが、企業が外国人を採用するにあたっての初期費用は、特定技能は技能実習生に比べて負担が軽くなる傾向にあります。
つまり、技能実習生は管理団体がすべて管理しますが、特定技能は採用した企業自らもしくは「登録支援機関」が外国人就労者をサポートする仕組みになっています。企業は外国人候補者を呼び寄せるのに必要な「在留資格認定証明書」の申請業務を行政書士などに依頼すれば、あとは自分たちで外国人就労者を支援するか、その支援を月々の支援料(月々1~5万円程度)を払って登録支援機関に委託するかになります。
特定技能に求められる支援において、当事務所でも次のようなサービスを提供しています。
- 空港から会社までの送迎サポート
- 住民登録同行サポート
- 口座開設同行サポート
- 携帯電話手続き同行サポート
- マイナンバー有効期限の延長手続きサポート
- 日本の運転免許への切替サポート
- 外国人従業員を受け入れる職場の作り方ガイダンス
- 外国人従業員への生活オリエンテーション
(当事務所は登録支援機関ではありません)
特定技能は、夜勤が可能
技能実習、特定技能に共通しているのは、接待業務はできないということ。そして、ベッドメイクや皿洗いなどのバックヤードのみの業務だけに就かせるのはだめです。両者の大きな違いは、特定技能はフロント業務において夜勤が可能だということです。
業務内容
技能実習 | 特定技能 | |
業務内容 |
|
|
技能実習と特定技能、違いを把握して業務の振り分けを
技能実習と特定技能では、制度がつくられた目的が異なります。技能実習は国政貢献、特定技能は人手不足解消のためです。ゆえに、外国人が従事する業務内容も、技能実習は技能習得の為に定められた職種・作業に関して必須業務、関連業務、周辺業務が細かく設定されています。特定技能は、単純作業のみに従事させることは禁止されていますが、「フロント、企画・広報、接客、レストランサービス」において日本人従業員と同様に業務に従事できます。
技能実習と特定技能の違い
技能実習 | 特定技能 | |
受入人数 | 制限なし | 5年間で22,000人 |
家族帯同 | 不可 | 不可(1号の場合) |
受入年数 | 3年間(1号、2号合計期間) | 5年間(1号の場合) |
賃金 | 最低賃金以上 | 日本人と同等額以上 |
目的 | 国際貢献 | 人手不足解消 |
転職 | 不可 | 可能(同分野内のみ可) |
日本語レベル | 不問 | 日本語試験に確認 |
業務内容 | フロント(夜勤不可)、接客、レストラン | フロント(夜勤可)、接客、レストラン、 企画・広報 |
不可業務 | 接待 | 接待 |
宿泊業が技能実習2号の移行対象職種に追加されたことで、宿泊業界においても本格的に技能実習生の姿を見る時代がやってきました。2年後、3年後、技能実習2号を修了した「特定技能」として働く外国人に就職先として選んでもらうには、企業としての魅力を備えておく必要があるでしょう。
当事務所では、外国人の雇用に関するあらゆるご相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
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