2024.08.15

特定技能フィリピン人は転職が困難!?

転職のカギを握るクリアランス証明書


MWO申請にも必須なクリランス証明書

フィリピン人が海外で就労する際には、フィリピン政府の規定により、MWO(Migrant Workers Office)への申請が必須となります。これは、海外で働くフィリピン人労働者の権利を保護し、彼らが適切な労働環境で働けるようにするための重要な手続きです。日本で「特定技能」として転職するフィリピン人の場合、MWOへの申請には追加的な書類としてクリアランス証明書(転職許可証)の提出が求められます。

クリアランス証明書の取得には、前の雇用主からの承認が必要です。つまり、この証明書は、労働者が前の雇用主と良好な関係のもとで契約を終了したことを証明するものです。フィリピン人が転職する場合、クリアランス証明書を求められるのは在留資格の中でも「特定技能」のみです。

前の雇用主が労働者に対して特定の問題を抱えていないこと、例えば契約違反や職務怠慢といった問題がなかったことを証明し、転職先に対して労働者が信頼できる人物であることをある意味保証します。この書類が新しい雇用主に提出されることで、雇用手続きがスムーズに進行し、MWOへの申請も問題なく進めることができるのです。

OECの発行とクリアランス証明書の関連性

MWO申請が完了し、特定技能ビザを取得した後、フィリピン人労働者がフィリピンに一時帰国し、再度日本に出国する際には、OEC(Overseas Employment Certificate)の発行が必要です。OECは、フィリピン政府が海外で働くフィリピン人に対して発行する公式の証明書で、フィリピンからの出国時に提出しなければなりません。OECが発行されなければ、労働者は再度日本に入国することができなくなります。

しかし、クリアランス証明書が取得できない場合、OECの発行に問題が生じることがあります。具体的には、クリアランス証明書がない場合でもMWO申請は通ることができますが、フィリピンに一時帰国した際に、OECが発行されないリスクが生じます。この場合、労働者は日本に戻ることができず、結果として新しい雇用主は労働力を失うことになります。このような事態は、新しい雇用主にとって大きな損失を招く可能性があります。

雇用主が新しい労働者を迎えるために費やした時間やコストが無駄になるだけでなく、予定していた業務に支障をきたすこともあるからです。

このようなクリアランス証明書の取得に関するルールは、在留資格「特定技能」のフィリピン人が日本国内で転職を希望する際の大きなハードルとなっています。この証明書の取得が難航するケースもあり、結果として転職自体を避ける傾向が強まっています。

まとめ

フィリピン人が海外で就労する際には、MWOへの申請が不可欠であり、特定技能ビザを持つ労働者にとっては、転職時のクリアランス証明書の取得が重要な要件となります。この証明書がなければ、フィリピンに一時帰国した際にOECの発行ができず、再度日本に出国することができなくなるという深刻な問題が発生します。このようなルールは、フィリピン人労働者が転職を難しく感じる要因となり、結果として特定技能ビザを持つフィリピン人労働者が転職を避ける傾向が強まる要因となっています。

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