外国人が働きやすい環境づくりで、定着率upにつなげる
雇用後の4つの取組み
外国人を採用後、企業がやるべきことは大きく分けて4つあります。まずはキャリアに関すること、意思疎通を図ること、評価に対する理解を得ること、日本人と異なる文化と習慣、考え方を持つ外国人を受入れる環境を整えることです。日本人だけなら、これらはスルーしてしまえることがほとんどです。でも外国人を雇うがためにやらなくてはいけないことです。それを負担と思うか、会社が生き残るために必要な取組みと考えるか・・・主な取組みの例を挙げて具体的に紹介していますので、参考になさってください。
<1>キャリア展望の共有とキャリア形成支援
外国人材の場合、入社時、すでにキャリアに対して明確な計画やビジョンを持っている人が多いようです。そのため、本人の希望と異なる配属先を決定した場合、十分な説明を行うことが日本人以上にとても大切になってきます。本人の納得を得られないままにすると、会社に対する信頼は失われ仕事に対するモチベーションも下がってしまいます。それは、早期離職の要因になり得ます。
会社側の期待するキャリア展望や意図を伝えることで前向きな気持ちになり、納得して仕事に取り組むことができるようになります。キャリア展望を共有するには、将来の計画書を定期的に作成し、見える化して会社と外国人材両者が共有しておくのがいいかもしれません。
また、日本語がたとえ流暢に話せたとしても“読む・書く・漢字”の苦手な外国人はたくさんいます。さらに仕事で使う専門用語となれば、日本人であっても慣れるまでには時間がかかります。不足している日本語を社内でフォローするのか、外部事業者による研修等実施するのか、方法はさまざまですが、業務や将来のビジョンを踏まえた学びの支援は必要です。
【取組の例】
- 社外のNPO法人に日本語教育を依頼。
- 定期的な日本語ディスカッション講座を開催
- 日本におけるビジネスマナー研修の実施
- 卒業~入社まで、集中的に日本語を学ぶ機会の提供
- 専門用語を翻訳したキーワード集の作成
- 資格取得に関する支援
- ビジネス文書作成能力アップの支援
- プレゼン能力アップの支援
- 技能講習への参加促進
- 半年間の研修後に、配属先を決定。
日本人の新入社員同様に研修を実施。半年かけて複数の部署をまわり、研修終了後に面談を実施。希望や適性を考慮して、配属先を決定。 - キャリア面談の実施。
母国語でインタビューできる環境を整え、意見を聞き取る。希望するキャリアプランのヒアリングトともに、実現のむけてのアクションプランを作成。
<2>日本人×外国人 交流の機会をもつ
日本人であっても外国人であっても、孤立してしまうと、ちょっとした質問もしにくくなるため、失敗やミスが頻発し業務が円滑に進められません。、早期の離職にもつながってしまいます。このような事態は、会社にとっても大きな損失であることは間違いありません。普段から上司や、先輩、同僚が、意識的に声掛けをすることで、外国人材には相談しやすい環境が整います。このような日常的な声掛けの実施のほか、社内における相談窓口の設置、社外の相談窓口利用の促進、先輩社員によるメンターサポート体制の構築、社内イベントの実施、地域イベントへの参加などが主な取組みとして挙げられます。
【取組の例】
- 先輩社員のアドバイス
相談しやすいよう、直接の上司ではなく先輩社員を相談役として配置。3カ月に1回など定期的に面談を繰り返す。課題は何で、その解決の為にどのように取り組んだのか、次の目標は何か…などを話し合い、メンターがアドバイスを行う。その内容を、上司をはじめトップまでが共有する。 - インターンシップ生の受入れで、外国人と一緒に働くことに日本人社員が慣れておく。外国人にわかりやすく伝える表現方法、説明の仕方などを習得する。外国人社員を受け入れる環境づくりの下準備をする。
- 現場の上司に本人のキャリビジョンを伝え、不安を抱かせない配慮
- 旅行、ボーリング大会、宴会の実施。費用は会社負担。
- 外国人社員の家族が来日した際の食事会。家族に安心感をもってもらうのが目的。
<3>客観的評価、丁寧な説明
日本企業にはこれまで長きにわたって「年功序列」という制度がありました。自分より長く働いている人や先輩の給料が高くても、日本人には当たり前の感覚ですが、外国人材の場合、客観的な評価に基づいての処遇でなければ納得するのは難しいようです。
それまでの給料体制が外国人材にはあわないと考える企業の中には、ポイント達成度で給与を決める「スキルマップ」制度を導入する会社も出てきています。客観的な指標であるポイントを業務内容ごとに設定し、給料アップのために頑張る・・・モチベーションの維持にも役立つ手法の一つでもあります。
【取組の例】
- 実力主義型の新人制度を採用
- 資格手当の支給
- 外国語手当の支給
<4>社員制度の見直し
外国人材は、宗教や食生活、文化の違いなどから、どうしても個別の配慮が必要な場合があります。対応や配慮が不十分な場合、外国人にとって働きやすい環境とはならず定着率は下がるでしょう。周囲の理解を得られるよう企業側の配慮が必要となります。また母国へ帰るにはどうしても長期休暇の取得が必要になってきます。いままで日本の企業にはあまりなじみがなかった、長期の特別休暇制度導入の検討も必要になってきます。このような社内制度の見直しは、日本人にとっても働きやすい会社に生まれ変わる大きなきっかけとなっていることはいうまでもありません。
【取組の例】
- イスラム教の文化や習慣への配慮
飲酒は禁止。お酒のある宴会に行くことも禁止されている。断食月のあとは休暇を取る。決まった時間に礼拝するため、その場所と時間が必要等。 - ベジタリアンにも対応
社員食堂のメニューを増やし、ベジタリアンにも対応可能に。或は、自炊ができるよう社内にミニキッチンを設置。 - ルール化
日本人社員だけでは当たり前に通っており問題視されてこなかったことが、日本人と外国人の中ではトラブルのもとになってしまうこともある。それらをヒアリングして、明確なルール化してトラブル回避。
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