2021.01.28

1号特定技能外国人支援計画とは?

受入機関が行うべき、支援内容を網羅

登録支援機関は支援計画の作成をしてはならない!!

1号特定技能外国人を採用する上で欠かすことのできない「支援計画」。これを作成するのは、特定技能外国人を受入れる機関です。もし支援計画を自分たちで作るのが難しければ、弁護士や行政書士に作成依頼できます。しかし、登録支援機関には依頼できません。登録支援消機関ができるのは、作成の助言等のサポートや補助にすぎません。支援計画の作成を登録支援機関が行うことは行政書士法違反になり、認められていないからです。

特定技能外国人 支援9項目

在留資格「特定技能」を申請するにあたっては、特定技能を受入れる企業が「1号特定技能外国人支援計画」を作って提出しなくてはなりません。
言葉の習慣も違う外国人が日本で働きながら円滑に暮らせるよう、企業にはさまざまな支援の義務が課せられています。

事前ガイダンスの提供

特定技能雇用契約を締結後、在留資格認定証明書交付申請(すでに日本に在留している場合は、在留資格変更申請)前に実施することが求められています。
対面で行わなくても問題ありません。インターネットによるテレビ電話などの方法でもかまいません。ただ、文書や電子メールなどの送付のみでは、事前ガイダンスをやったことにはなりません。

3時間程度、ガイダンスを受ける外国人が十分理解できる言語で実施します。特定技能外国人と企業の間に「送り出し機関」が介在している場合、受入機関が事前ガイダンスの実施をこの送り出し機関に依頼することは禁止されているわけではありません。ただ、そうなると受入機関として、企業が“支援”を適切に行っていないと出入国在留管理庁からみなされてしまう可能性があります。登録支援機関が事前ガイダンスの実施を送りだし機関に委託することは、認められていません。

出入国する際の送迎

特定技能外国人が入国しようとする空港や港において出迎え、受入機関である会社や住居までの送迎を行うこと。

1号特定技能外国人が雇用期間の満了や退職等で帰国する場合は、特に注意が必要です。退職したらおわりではありません。退職した外国人が帰国の途に就くまで、つまり、空港の搭乗ゲート入口に入るまでを確認しなくてはなりません。帰国するお金がない外国人に対しては、企業が負担しなくてはなりません。(有給休暇等で帰国する場合、企業にこのような義務は課せられていません)。

住居の確保

特定技能外国人が住むところに困らないようサポートします。特定技能で多いのは、社宅を提供するケースです。住居者である特定技能外国人が家賃を負担する額は、他の日本人入居者と同額でなければなりません。
民間の賃貸物件を借りて住む場合、連帯保証人の問題も受け入れ機関がサポートします。家賃債務保証業者を利用する場合、保証料は受入機関が負担します。
居住の広さは7.5㎡以上と決められていますが、「技能実習2号」等から「特定技能1号」へ在留資格を変更する場合であって、特定技能受入機関がすでに確保している社宅等に住む場合、1人当たり4.5㎡以上を満たせば足ります。

生活オリエンテーションの実施

入国後(もしくは在留資格の変更後)、8時間程度、1号特定技能外国人が十分に理解できる言語で実施します。主な内容は次のとおりです。

  • 金融機関の利用方法
  • 医療機関の利用方法
  • 交通ルール
  • 交通機関の利用方法
  • 生活ルール&マナー
  • 生活必需品の購入方法等
  • 気象情報や災害時に行政等から提供される災害情報の入手方法等
  • わが国で違法となる行為の例

日本語学習の機会の提供

企業が採用する1号特定技能外国人は「N4」等以上の一定レベルの日本語能力を備えています。しかし、そのレベルで日本で暮らし働き続けていくことは難しいと思われます。特に、外国人を悩ませるのが「漢字」です。中国も漢字は使いますが、読み方は一つです。日本のように音読みや訓読みはありませんし、平仮名やカタカナもありません。流暢に話す外国人であっても、読み書きは苦手という人は多くいます。それでは仕事に支障が出てくる職場もあるでしょうし、外国人自身の疎外感や仕事のやりづらさにつながってしまうでしょう。これらの理由から、日本語学習の機会提供は義務となっています。政府は、義務的支援として次のいずれをかを行うことを課しています。

  • 就労・生活する地域の日本語教室や日本語期間に関する入学案内の情報を提供し、必要に応じて1号特定技能外国人に同行して入学の手続の補助を行うこと
  • 自主学習のための日本語学習教材やオンラインの日本語講座に関する情報を提供し、必要に応じて日本語学習教材の入手やオンラインの日本語講座の利用契約手続の補助を行うこと
  • 1号特定技能外国人との合意の下、特定技能所属機関等が日本語講師と契約して、当該外国人に日本語の講習の機会を提供すること

日本語の話せる日本人が、日本語を教えられるわけではりません。日本語を教えるには、かなりの技術が必要です。コストはかかりますが、日本語学習の提供には外部の力を借りられることをお勧めいたします。

相談、苦情への対応

  • 日常生活、社会生活、職業生活において相談や苦情のあったときに対応
  • 通訳を外部から雇う、同僚の外国人就労者を通訳に充てる、翻訳機・翻訳アプリの活用
  • 対応は平日3日以上、土日のうち1日以上
  • 就業時間外の夜間も対応
  • 祝日も対応
  • 相談・苦情専用のメールアドレスの設置
  • 緊急時における連絡手段の確保等等

日本人と交流促進

転職支援

人員整理や倒産等受入側の都合により、1号特定技能外国人との雇用契約を解除する場合、次の義務的支援を行わなければなりません。

  • 求職活動を行うための有給休暇の付与
  • 国民健康保険や国民年金等行政手続に関する情報の提供

また、義務的支援とは別に次の転職支援のいずれかも行わなくてはなりません。

  • 転職活動に必要な推薦状の作成
  • 次の受入れ先に関する情報提供
  • 次の受入れ先を探す補助
  • 職業紹介事業を行うことのできる特定技能所属機関である場合、就職先の紹介斡旋を行う

定期的な面談

3か月に1回以上、対面により直接話をします。テレビ電話等の手法は許可されていません。1号特定技能外国人が十分に理解できる言語により行う必要があります。

義務的支援&任意的支援

支援には受入機関が必ずしなければならないものと、そうでないものがあります。支援計画を立てる上で注意すべきは、いくら“任意的支援”のものであっても支援計画書に書いた段階で「義務的支援」に変わってしまうことです。気軽に“支援するつもり”で多くのことを計画に盛り込んでしまうと、受入機関の負担が増えてしまうので注意しましょう。

1号特定技能外国人の支援義務者は、だれ?

特定技能支援機関は、1号特定技能支援計画の実施については一部または全部を委託できます。つまり、支援の実施には次の3つのパターンが考えられます。1つ目は、所属機関が支援の全てを行う。2つ目は、所属機関が「登録支援機関」に支援のすべてを委託する。3つ目は基本的に支援を所属機関が行い、足りない部分だけを登録支援機関や業者に一部委託する方法もあります。1つ目と2つ目のパターンの場合、支援の義務者は受入機関になります。

受入機関がこれまで外国人労働者を受け入れたことがない場合、いきなり外国人に関するすべての面倒を自分たちで見るのはハードルが高いので、登録支援機関の力を借りるのがいいかと思われます。その場合、登録支援機関への月々の支払が発生します。全部は自分たちで面倒をみることはできないけれど、費用は押さえたい・・・その場合は、「日本語学習」だけ、「空港からか会社までの送迎」等を外部に委託します。

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